新型コロナウイルス感染症の検査
新型コロナウイルス感染症を診断するための検査としては、PCR法等による遺伝子検出法とインフルエンザの検査で頻用される抗原検査があります。既往の感染を推察する検査として、イムノクロマト法による抗体検出法があります。
心陽クリニックで受けられる検査は、PCR法による遺伝子検出法と抗体検出法です。
健康保険適用ではなく、自費の検査です。検査結果証明書を発行します。
検査料金
リアルタイム RT-PCR検査(医師採取による鼻咽頭拭い液検体のみ)+検査結果証明書 37,000円(税抜)
抗体検査(混合検査)(来院) 4,600円(税抜)
抗体検査(混合検査)(出張) 15名まで 82,000円(税抜)追加1名当たり4,600円(税抜)
※心陽クリニックから公的交通機関を利用して往復1時間以上の場合は、別途出張料金および交通費(タクシー利用料等)をいただきます。
PCR検査
遺伝子検出法とは、新型コロナウイルスの生命の設計図といえる、遺伝子情報の存在を検知し、患者の体内で新型コロナウイルスが増えていくのを確認する方法です。
PCRとは、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)の略です。
新型コロナウイルスの生命の設計図であるDNAポリメラーゼを用いて、わずか数分子のターゲット核酸から数ミリグラムのDNAを増幅する技術です。
逆転写酵素(reverse transcriptase)を用いて、PCRの性能をRNA増幅に拡大する技術がRT-PCRです。
つまり、体内で新型コロナウイルスがどんどん増えていくときに陽性になりやすいのです。2020年3月6日から新型コロナウイルス感染症のPCR検査は、「入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺炎を強く疑う症例」に対し、健康保険の保険適応となりましたが、感染防御設備の可能な専門外来病院(帰国者・接触者外来)もしくは同等の医療が可能な施設に限って行われていますので、心陽クリニックでは自費診療です。
体内で新型コロナウイルスがどんどん増えていくときにPCR検査の結果が陽性になりやすいのですが、図のように、PCR検査が陽性になるタイミングと、皆さんが一番知りたい、「人にどんどんうつしてしまうリスク=感染性」の高い危険な期間は異なります。
感染(感染性のある相手と接触してしまった)後、2.9日後には感染性があるのですが、その頃はPCR検査では陽性になりません。
一方、発症から約1週間、感染から12日程度で感染性は低下しますが、PCR検査の陽性は持続します。
毎月一度、全従業員にPCR検査を行っても、従業員が確実に感染性を有してしまうリスクは避けられません。
ましてや、検査を行うために自宅の外に出なければならないのなら、検査より、在宅ワークのインフラを整備することのほうがずっと重要です。
もし、感染者との接触が明らかだったり、アプリの警告を受け取ったりして、「症状がない」ときは、検査を受けようとせずに、2週間ほどは外出しないでください。
その間、症状がなく、執務が可能なら、もちろん、在宅ワークをしてください。症状がなければ、療養の必要はありません。
PCR検査の検体として、鼻咽頭拭い液、鼻前庭拭い液、唾液、下気道由来検体(喀痰もしくは気管吸引液)、便などがあります。
しっかりと鼻咽頭拭い液を採取されると、鼻の奥がツーンとして、くしゃみや咳、涙が出て、たいへん辛いのですが、手技に慣れた医師が採取する検体が最も信頼性が高いです。心陽クリニックは医師の採取による鼻咽頭拭い液のみを検体として採用しています。検査機関で精査するため、検査結果は採取翌日に判明します。証明書発行日については、原則として翌々日以降ですが、お問い合わせください。
PCR法では検体採取や検体保存の条件、検査の実施方法などで検査精度が左右されます。
医師が適切に実施すれば非常に正確ですが、不適切に採取された検体や迅速キットでは精度が下がります。
図は、Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19. Xi He, et L., Nature Medicine, 2020 を参照に作成しました。
PCR検査結果証明書
心陽では、臨床診断的意義ではなく、業務上の渡航等で、イキイキ働くために検査が必要な場合の支援を第一義としています。
そのため、症状のある人を適切な治療にアクセスさせる目的での検査は行っておりません。
証明書の作成には、労働衛生の専門性と臨床経験を活かして、多様な視点で評価されたときに効力を発揮するような工夫をこらしています。
検体が本人のものである保証やその検体の採取経路、採集者、検査機関の透明性などは、臨床医療では非常に重大な情報ですが、明示されていない証明書のほうが多いようです。
特定の様式に記入することもできますので、まずは、お問い合わせください。
抗体検査
新型コロナウイルス感染症も含め、病原体に感染すると病原体排除の為に免疫系が発動します。その中で獲得免疫系では、免疫細胞の一つであるB細胞から病原体に特異的な抗体が産生されます。抗体はウイルスの抗原を認識して結合し、病原体排除に貢献します。感染の初期に上昇する抗体がIgM、遅れてIgGが上昇し、IgMは初期の感染防御、IgGはその後の感染防御の主要な役割を果たします。
感染者との接触があったけれど濃厚接触者だとは認められず行政検査の対象にならなかったり、風邪症状があったけど自宅療養で軽快したりした場合は、感染の心当たりから2週間以上経ってから、抗体検査を受けてください。心当たりも症状もないけれど感染経路不明例や無症状例の報道で心配になった場合にも、抗体検査は有用です。ワクチン接種前に抗体価が上がっている場合は、感染していた可能性があります。一度感染している方は図のように、1回目接種が感染していない方の2回目接種と同じブースターの役割を果たすことが示唆されています。既感染の場合は、2回接種が不要とも考えられますので、職域や地域では、未感染の方の2回めを優先しましょう。ワクチンの2回接種、既感染後の1回接種を終えた方は、その成果を見るためにもぜひ、抗体検査を受けてみてください。
職場での感染確認、職域接種の効果判定として、なんらかの臨床検査を利用したい場合は、抗体検査がおすすめです。抗体はウイルス構造のいくつかの部位に対して産生されます。
抗体検査では特定のタンパク質に対する抗体をどれくらい持っているのか調べることができます。
当院では、ロシュ社のECLIA法によるIgMとIgAの混合検査およびアボット社のIgG抗体検査を採用しています。
PCR陽性確認後、14日以降の感度は100%、全体としての特異度は99.81%です。結果は2~4日後に判明します。
職域の新型コロナウイルス感染症対策
職場の新型コロナウイルス対策としては、感染を拡大させないための感染予防対策と、従業員が感染の当事者になった場合の対策があります。
どちらも、職場レベルで行う対策と従業員個人レベルで行う対策があります。
感染予防対策
職場においては可能な限り、在宅勤務を行います。
外科手術や公的交通機関の運行など、どうしても在宅ではできない業務以外は、在宅勤務を行うための工夫と支援を最大限、行います。全部ではなく、一部でも適用が可能なら、積極的に
在宅勤務を命じましょう。どんな業種でも、どんな事業規模でも、従業員が従業員同士はもちろん、接触する相手が少なければ少ないほど、感染リスクを減らせます。
リモートワークの従業員をマネジメントする管理職の業務は簡単ではありませんが、本来、管理・監督と監視・監禁は全く別のものです。さまざまな手段によって、オフィスにいなくても、部下に心理社会的安全性を与えることは可能です。オフィスにいても孤立し、孤独を抱える部下がいます。リモートワークでこそ管理職の役割は発揮でき、出社時よりも大きなパフォーマンスを得られる従業員も多いでしょう。
個人レベルでは良質な情報が多くあふれていますので、御社従業員としてのモラルに合致する情報を共有していきましょう。
心陽では、職場の感染対策のスポットコンサルティングをいたします。
新型コロナウイルス感染症発生時の事業継続対策
実際に、従業員、クライアント、その他、業務に関連する人々に、新型コロナウイルス感染症が発生した場合の事業継続計画は、できるだけ、発生する前に準備したいものです。
発生すること事態は自然現象で、企業にも従業員にも責任はありません。
しかし、発生後に事業を継続する責任は企業にあります。
BCP:Business Continuity Plan の策定支援はぜひ、心陽にお任せください。PCR検査、抗体検査などの個人向け臨床検査から、コンプライアンス対応まで、幅広く引き受けますので、まずはお問い合わせください。
職域で起きたどんな健康関連課題にも対応するご契約の場合は、24時間365日対応することができます。もちろん、有事の計画策定さえあれば、社内で対応することが可能です。