長く眠るしかない
- Yoko Ishida
- 2022年4月12日
- 読了時間: 5分
【睡眠力は幸福力】 睡眠時間の大切さをしつこく訴え続けています。

睡眠力は幸福力。水木しげる先生、さすがです。
睡眠力は幸福力、睡眠力は生命力、睡眠力こそ、私たちが渇望するウェルビーイング力です。
「睡眠時間の大切さはよくわかりましたが、実際に睡眠時間が確保できない場合は、どうしたらいいですか?」
というご質問をよくいただきます。
睡眠という生命活動の設定プログラムは書き換えられません。
1日1回かつ8時間(適正時間は年齢に応じて変わり、個体差があります)というルールに従わないと、生命として活動力が低下し、健康が損なわれます。
たとえば風邪のひきやすさもこのとおり。

ユニバーサルなウェルビーインググッドプラクティスとしての睡眠力を考えるとき、必要な条件は1日1回と適正時間(約8時間)だけです。
これだけですが、この2つだけは譲れません。
私たちには平等に1日24時間という時間が与えられています。
人によって適切な時間は多様ですが、少なくとも全世界の半分以上の人が7時間は必要ですし、9割以上の人が6時間は必要でしょう。
睡眠時間は絶対に必要、つまり確保しないで済む方法は「ない」ので、現在のライフスタイルで充分な睡眠時間が確保できない場合は、睡眠時間を確保するためにライフスタイルを変更しましょう。
食後の休息や入浴が、もし本当に睡眠の質を上げるとしても、それを睡眠時間を削る理由にしているのなら、睡眠時間に充てましょう。
睡眠力はウェルビーイング力、他のどの活動よりも重要な時間です。
【睡眠時間を削れる魔法は存在しない】 短い睡眠時間でも、充分な睡眠時間と同じ効果の上げられる魔法はありません。
発明されたら、長時間労働を規制する健康上の理由はなくなりますね。
1時間100万ドルでも全世界で爆発的に売れるでしょうね。 古今東西、権力者は不老不死を求めたといいますが、それはすなわち眠らなくてもいい魔法かもしれません。
たとえば自動化はそんな仮定から加速したと思います。ロボットは、眠らなくてもパフォーマンスが衰えません。眠らなくてもパフォーマンスが衰えない人間は、充電不要なスマホと同じようにありえません。
睡眠は排泄や呼吸、拍動と同じように、人間が生命活動を営むための本質的な活動で、別の行動では代替できません。
ゼロにしようってわけじゃなし、ちょっと短くするなら、いいんじゃないか? と考えるかもしれませんね。
たとえば、脈拍70回、血圧120/65と同じ心拍出量を、脈拍30回で実現しようとすると、血圧を250/212にしなければなりません。これって、健康的に代替できてないって明らかですよね?
しつこいようですが、睡眠の質と睡眠の量の関係はトレードオフではありません。
睡眠の量の不足を、質の高さで補うことはできません。
正確には、充分な睡眠時間が足りないと、睡眠の質について論じることができません。
睡眠時間は、睡眠の質の最重要因子という表現が、もっともふさわしいでしょう。
「睡眠の量」=「睡眠時間」という仮定が、そもそも乱暴ですが、総合的な睡眠力をあげるためには、まずは睡眠時間の確保が必要です。
もちろん、適切な睡眠時間は人それぞれです。自分にとってベストな睡眠時間は、前述のコラムに示す実験のような方法で探るしかありません。
それでも、4時間や5時間で足りる人はいません。
たとえば、穏やかな状態で測定した自分の血圧が138/85mmHgだったら、私は化学的に(処方薬を服用して)血圧を下げる戦略を選択します。
高血圧症は、自宅の起床時の収縮期血圧が140mmHg以上か、拡張期血圧が90mmHg以上かで診断されるものだから、内服なんてもってのほかと主張する医師もいるでしょう。
私だって、患者が後期高齢者なら内服は選択しませんし、興奮状態だったら気にもとめません。
よく、健康診断で警告されて受診したのに、治療の必要はないと言われたというエピソードをききます。この診療態度の是非は別として、健診の血圧と受診時の血圧、家庭血圧がいくつだったら内服を開始するか、というのは医師と患者の組み合わせによって千差万別です。そのための診療です。いくつになったら内服が妥当という線がパッキリあるのなら、それだけ決めて、薬は自動販売機で買えばいいってことになります。
それでも、血圧が250/212mmHgだったら、誰でも「高い」とわかりますよね。落ち着いた状態で、何度測定しても収縮期血圧も拡張期血圧も200も100も下回らないのに、「まだ内服の必要はない。生活習慣を改善して、様子をみましょう」という医者、いるのでしょうか?
まあ、いるかもしれませんが、圧倒的に少数派でしょう。私は診てもらいたくないですね、そんな医者に家族や自分を。
つまり、睡眠時間が4時間や5時間で済む(心身の健康に影響がない)という人は、血圧が200を超えていても、全く動脈硬化が進まない人と同様に、簡単にお目にかかれる人ではありません。私はこの世に存在しないと思いますけど、特例はあるのかもしれません。

睡眠はプリミティブな生命活動で、好みや訓練でプログラムを書き換えられるものではありません。私は医者で、風水の専門家ではないので、パジャマの色で睡眠の質が変わると主張できませんが、睡眠の質がよくなると信じて、その色のパジャマを着れば、心理的な理由で睡眠レベルが上がることは大いに期待できるとは思います。 そういう科学的ではないけど、プラスアルファになる努力は、いくらでも惜しまずやってほしいのですが、反対に非科学的な方法で睡眠のレベルを上げることで、睡眠時間が短くて済むようになるということは、絶対にありえません。 これは多くのポピュラーサイエンスに共通して指摘できることです。
よい思い込みというのは、どんな薬よりも万能で、副作用がありません。パジャマの色で、運気は上がると私は信じます。人間には、想念を実現するポテンシャルがあると信じています。想像したことしか現実にならない、どうせできないと具体的な想像さえしてみない夢が叶うことはないと思っています。一方で想定した課題しか解決できないし、それがリスクマネジメントの本質だとも考えています。
というわけで、睡眠力はウェルビーイング力、そして睡眠力の最も重要な因子が睡眠時間です。ちなみに私の平均睡眠時間は8時間半くらいで、その生活にしてから、爆発的に健康です! 思い込みの話として、ストレスに対して良くない思い込みを持っていると健康に悪影響を及ぼすという話は、こちらの動画からどうぞ!
Comments